Liverano & Liverano

リベラーノ

思い返してみると、僕が初めてイタリア文化というものに触れたのは、確か大学生の頃でした。 なんとなくテレビで観ていたイタリア語講座。そこから僕はイタリア文化にのめり込んでいくことになるのです。

塩野七生さんの“イタリアからの手紙”、中嶋浩郎さんの“フィレンツェ職人通り”、山下史路さんの“フィレンツェ貴族からの招待状”、アリーゴ・チプリアーニさんの“ハリーズ・バー”などの、イタリアに関係する本をむさぼるように読み、更に興味は増すばかり。大学の卒業旅行の行き先は、紳士服の聖地ロンドンと迷うも、やはりイタリアに決めました。

もちろん洋服には中高生時分から興味がありましたが、伝統的なスーツスタイルに関する深い知識など持ち合わせておりませんでした。大都会のミラノのブティックに足を踏み入れても、当然アジア人のガキを正面に接客してくれるはずもなく、旅の目的は観光と食に絞られていくわけです。

ミラノで冷たくあしらわれ意気消沈気味でフィレンツェへ。そこで、アントニオ・リベラーノさんと出会いました。

ショーウィンドーのディスプレーを見て何気なく、Liverano&Liveranoに入店。 maloのカシミア製品や、Macintoshのレインコート、Luigi Borrelli製のシャツなど、こじんまりしたした店内にギッシリと並んだカラフルな商品たち。そこで人懐こい笑顔と素敵なジャケットスタイルで迎えてくれたのがアントニオさんでした。

店頭には、ジャケットやスーツの既製品がなく不思議に思っていたところ、店の奥の作業場を見せて頂くことになり、「なるほど、ここは仕立屋さんか!?」とようやく気付いた訳です。

そのまま仕事の様子を見せてもらい、夕食の予約までして頂き、そのチャーミングな人柄にすっかり魅了されてしまいました。いつかは、アントニオさんにジャケットを仕立てて頂きたいと思いました。

その後は、お金を貯めてはフィレンツェへ遊びに行くようになりました。顔や名前を覚えてもらえるまで、通いました。フィレンツェでオーダーを入れ、東京・帝国ホテルで仮縫いをして頂いたこともありますし、大阪・阪急メンズ館までその支払いに行った事も、、、笑。国内外でお会いすることで、少しずつ関係を築いてきました。

今では、自分のお店に来て頂けるまでになりましたが、それはショップマネージャーの大崎さんのおかげで実現したことです。彼が僕のような地方の小さなショップに、マエストロを連れて来てくれたのです。出会いとは不思議なものですね。彼らとの出会いは、僕にとってかけがえのない一生の宝です。彼らの洋服を広める事が僕の幸せであり、責務だと考えています。

どのような洋服かといえば、これ以上手をかけられないという最高のクオリティに、彼らの美意識が上品にブレンドされた洋服と言ったところ。もはや古いとか新しいとか言うのがナンセンスな世界観。美しさは時代や国境を超越するというお手本。美術館に並ぶ絵画のようなモノ。

アントニオさんは、こう言います。
「ただ服を仕立てるのではなく、文化を作っているのです。」と。

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